2012年4月5日、ついに新バージョンである FileMaker 12 が発表されました。
日本での発売は2012年4月10日ですが、無料評価版が利用可能なので既にお試しになった方もいらっしゃるでしょうか。
魅力的な新機能や美しい画面キャプチャにワクワクする反面、既存ユーザにとっては11以前のバージョンとの互換性や、どこがどう変わったのかが気になる事かと思います。
特に日々の作業に役立ちそうな部分について、いくつかご紹介いたします。
【ファイルフォーマット:変換・旧バージョン(拡張子fp7)との互換性】
FileMaker12ではファイルフォーマットが fp7 から fmp12 に変わりました。既存ファイルの変換は、ファイルメニューの「開く」でファイル名を指定するかファイルをFileMaker 12にドラッグ&ドロップするだけです。11で作成した既存のソリューションの変換を何例か試してみました。多くの場合、非常に高い精度で変換され、そのまま使用可能でした。
【デザイン関連の新機能:レイアウトテーマ・画面サイズガイド・クイックグラフ】
新機能の「レイアウトテーマ」を利用することで、非常に効率よく美しいレイアウトを作成することが可能です。
テーマの変更も簡単に行えます。グラデーションや角丸など、昨今では当たり前の洗練されたデザインのレイアウトオブジェクトを簡単に作成して追加できます。統一感のあるデザインでソリューションが作成できるので、手間暇かけずに完成度が一歩あがります。新しいファイルを作る場合はもちろん、既存のソリューションのデザイン修正にも非常に重宝しそうです。
FileMaker Pro 12 には iPad および iPhone 用のテーマセットが組み込まれており、フォント、色、ボタン、その他のオブジェクトが FileMaker Go に最適化されていますので、これから FileMaker Go を利用するユーザも難なく導入できそうです。PC, iPad, iPhone など様々な解像度でのレイアウト作成に役立つガイド機能も地味ながらとても嬉しい要素ではないでしょうか。また、FileMaker 11 で登場したグラフに新たにクイックグラフ機能が加わり、わずかな操作で美しいグラフが作成できるようになりました。
【オブジェクトフィールドの拡張:リモート保管・サムネイル・ストリーミング再生(プログレッシブダウンロード)】
これは多くの方が待ち望んでいた機能ではないでしょうか。
FileMaker の魅力のひとつでもあり多くの人に利用されてきたオブジェクトフィールド。手軽で便利な反面、大量の画像ファイルなどを登録するとすぐにファイルサイズが大きくなり、パフォーマンスに大きく影響してしまうのがユーザの悩みの種でした。
FileMaker 12 では、オブジェクトフィールドのデータを外部に保管することが可能になりました。データベースにバイナリデータを保持しないことで、データベースの動作が軽くなりすばやく簡単にアクセスできるようになります。旧バージョンでも外部参照パスをテキストフィールドに保存することはできましたが、リモート保管機能はオブジェクトフィールドを介して指定したディレクトリに直接ファイルを保存するもので、大きな違いがあります。また、保存したオブジェクトをレイアウト上に表示する時などで、サイズが大きい画像などは描画に時間がかかり動作が重くなってしまう問題を避ける為の方法として従来は画像をサイズダウンしてサムネイル画像専用のオブジェクトフィールドに保存する、外部プラグイン等を組込むなどのひと工夫をして対応してきたユーザも多いのではないでしょうか。
FileMaker Pro 12 では、データベース内の画像ファイル全体を表示せず、自動的にサムネイルを生成してキャッシュしてくれます。サムネイルは最適化されたファイルサイズで描かれ、レコードからレコードへとストレスフリーに表示できます。また、FileMaker Server を利用している場合、動画や音楽を、データベースから瞬時にストリーミング再生することができます。さらにデータベース内で PDF を表示し、スクロールすることもできます。
これらの機能を利用することによりサーバの負荷を減らすことができ、処理速度やバックアップ効率も向上します。FileMaker Pro 単体でのご利用でもリモート保管やサムネイルの利用はできますが、FileMaker Server 12 と組み合わせが今まで以上にオススメしたいポイントです。
【iOS対応:FileMaker Go 12の無料ダウンロードと、様々な開発支援ツール】
FileMaker Go 12 は iTunes App Store から 無料でダウンロードできます。デザインの新機能でも触れましたが、FileMaker Go 用のレイアウトテーマが多数用意され、すぐに作成して利用できる工夫が溢れています。スクリプトと計算式も、iOS 対応ソリューションをより簡単に作成できるよう改善され、どんどん導入へのハードルが下がっています。GPS機能などiOSならではの機能を利用できるロケーションベースの関数も含まれています。このように FileMaker Go の導入をお考えの場合は12が絶対おすすめです。
【FileMaker Server :プログレッシブバックアップ機能】
最初のフルバックアップを取った以降、変更された部分のみの差分バックアップを取る事が可能になりました。フルバックアップに比べて処理時間が短く、サーバーのパフォーマンスに対する影響も少なくなります。変更が激しいデータベースについてはバックアップの間隔を短くすることでより精度の高いバックアップをとることも可能です。
まだまだ確認できていない部分もありますが、新規ユーザだけでなく旧バージョンからのユーザにとっても抵抗なく受入れられるようにという細部への配慮がみられるような印象でした。
実際の業務で使用されている場合、システム要件や予算などのハードルもありなかなかバージョンアップに踏み切れない事が多いと思いますが、乗り越えれば素晴らしい世界が待っています。
さあ、あなたも FileMaker 12 にアップグレード!